おいしい生活

日々経験したこと、お役立ち情報などを書いていきます。

「私の転機」1枚の名刺が運命を変えた。

人生の転機

 私の転機は20数年前、愛する夫との出会いだ。それはもう、人生最悪の出会いだった。今こうして、ブログを書きながら、ふと夫の顔を見ると、いまだに一緒にいるのが不思議なくらいだ。

 

しかし、私はこの人との人生を楽しんでいる。そして、心から夫を愛している

 

夫と出会う前の私

そのころの私は仕事のことでモヤモヤしていた。本当にやりたい仕事には進めず、生きるために選んだ仕事で成果を上げるために突っ走っていた。

 

当時の仕事は販売。仕事自体は好きだったし、対価にも満足していた。でも、本当にやりたい仕事のことが頭の片隅にあり、モヤモヤしながら毎日を過ごしていた。

 

本当にやりたい仕事

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私が目指していたのは、IT業界。以前勤務していた会社で社内システムの担当者を経験した事がきっかけで、漠然とした憧れを抱くようになっていた。それまでも、やりたい仕事を見つけると、転職をしてでも前に進むことを選んでいた。

 

しかし、この時ばかりはすんなりとはいかず、IT業界に進む方法を模索していた。

 

怪しい電話

そんな時、自宅に怪しい電話がかかってきた。私は不在で、母から電話のことを知らされた。電話の相手にはまったく覚えがなかったので無視することに決めた。

 

しかし、その後数日するとまた電話がかかってきた。この時も私は不在で、電話をうけたのは母だった。それでもやっぱり無視を決め込んでいた。

 

電話の相手

そんなことが数回続いても、やはり電話はかかってきた。電話を取るのは決まって母。驚くことに、相手の人と一言二言世間話しをする関係になったらしい。これは私にとって大きな驚きだった。なにしろ母は警戒心は強い。その母が見ず知らずの男性と電話で会話して、「悪い人ではないみたいよ。1回電話をかけてあげたら?」と私を促したのだ。

 

そんな母の様子をみて電話の相手に興味を覚え、このアドバイスに素直に従うことにした。そしてこの電話が私の運命を大きく変えた。

 

最悪の相手

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電話の相手は、何年も前に1度だけ名刺交換した相手。しかも、1対1で話したのは数回程度。たったそれだけの関係なのに、「最悪」の印象を残す相手だった。記憶の片隅に残っていたその野太い声に、当時の不愉快な記憶がよみがえる。

 

この「最悪の相手」との出会いは仕事を通じてだった。当時勤めていた会社にシステムが導入されることになり、社内担当者として白羽の矢が当たったのが私。システムベンダー側の担当者だったのがこの人。

 

会社に来たと思ったら、こちらの都合はお構いなしに「コレ、明日までに必ずやっといてください」などと、自分の用件だけを伝えてさっさと去っていく人。それはまるで業務命令みたいだった。しかも、地を這うような野太い声で、威圧感タップリの言い方で。

 

そういった態度を「クールだ」と表現している女性が少なからずいたが、私にとっては不愉快なだけの相手だった。

 

そんな、できれば避けたい相手が急に電話をかけてきたのは、名刺を交換していたからだった。突然のトラブル発生に備え、名刺の片隅に自宅の電話番号を書いておいたのだ。

 

しかし、もうその時から2年も経過しているので、突然の電話に戸惑わないはずはなく、「一体なんの用事だろう......」と迷惑にさえ感じていた。

 

すると、次の瞬間その相手は、私に希望をもたらすセリフを電話口でささやいた。

 

「うちの会社で働ける人知らない?」

 

雲の上の存在

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実はこの人は、当時の私にとっては雲の上の存在。IT業界でバリバリ活躍するSE。とても優秀な人だと聞かされていた。その相手からの電話は、ずっとやりたかった仕事へのチャンスが舞い込んだ瞬間だった。

 

 私を採用してください

このチャンスを逃すものかと、即座に「私を採用してください」とアプローチ。この「最悪の相手」と再び仕事をすることになったとしても、舞い込んできたこのチャンスを逃したくはなかったのだ。

 

どんな反応がくるのかと思っていたら、「じゃあ、会って話しましょう」と、すんなり面接の日程が決まった。

 

いきなりの先制パンチ

面接の場所は相手行きつけのカフェ。そこは偶然にも私の幼いころの記憶が刻まれた場所だった。私の両親とゆかりのあるお店で、何度も何度もお店の前を通ったことはあったのだが、一度も入ったことのない「憧れの場所」だった。

 

期せずして、この最悪の相手が私の幼いころの憧れを実現してくれたのだった。この出来事に心の中で喜びながら、少しノスタルジックな気持ちに浸っていると、いきなりの先制パンチが飛んできた。

 

「ところで、あなたに何ができるの?」

 

最悪の面接

椅子に座った途端、相手の口から出てきたのはこの言葉だった。相変わらず威圧感たっぷりの言い方。電話では紳士的だったのに、実際にあってみると2年前の「最悪の印象」そのままの人がそこにいた。

 

もしかすると、ソフトに会話できるかもしれないなんて考えていたのは、私の勝手な妄想だと思い知らされた。第一印象最悪の相手は、やはり第一印象を裏切らない、私の天敵のような相手だった。

  

精一杯の抵抗

とはいえ、もっともだと認めざるを得ない。あまりにもストレートな質問に一瞬ひるんだのだ。しかし、ここで負けてはいけないとすかさず返答。

 

「今すぐお役に立てることは少ないと思います。しかし、期待は裏切りません。チャンスを下さい。必要なスキルは身につけます。もし、だめだと感じたらすぐにクビにしてください。」

 

苦し紛れに吐いたこの言葉に、相手はニコリと笑い「じゃ、そうしよう」。怖いくらいにあっさりチャンスをもらったのだった。

 

想像もしない仕事

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スーツとヒールを新調しいざ初出勤。教えられた場所には小さな事務所があった。そこは男性だけの職場。そのせいか全体的に雑然としていて、駐車場には背丈に届くほどの雑草が生えていた。

  

事務所に入ると、また例の先制パンチが飛んできた。

 

「俺らは打合せに行ってそのまま直帰する。今日は駐車場の草むしり終わらせておいて」

 

そのセリフといくらかのお金、そして事務所のカギだけを私に手渡して、その相手はいなくなった。

 

負けるもんか!

いきなりのことにしばし呆然。同時に「こんなヤツに負けるもんか」と自分の中の何かに火が付いた。

 

すぐに「草むしり」の準備品を購入。そして、私は新調したてのスーツで草むしりを始めた。

 

本格的な草むしりなんて当分経験していない。あるいは人生初かもしれない。嫌いな虫や、悪くすると蛇だっているかもしれないという恐怖もあったが、ミッションだと言いきかせて遂行。

 

1日かけて何とか終了した。もう、草むしりで私の右に出る人はいないと言えるくらいの自信が身に付いた。

 

「この仕事にこのスキルは役に立つのか」なんて疑問は1ミリも感じることなく、「どうだ、コノヤロウ」と、頭の中は満足でいっぱいだった。

 

テスト

翌日、その最悪の相手は事務所にやってきた。キレイになった駐車場を見ながら少し微笑んで「合格」と私に告げた。どうやら私は自分の言葉を試されていたようだ。

 

「期待は裏切りません。必要なスキルはなんでも身につけます。もし、だめならすぐにクビにしてください」この言葉を。

 

合格の言葉にしばし喜んだのも束の間で、次から次へとクリアすべき難題が私の前に立ちはだかった。

 

パソコンは3日

次の指令はパソコンのオペレーション習得だった。手書きの設計資料をデータ化するために、3日でOSとアプリケーションソフトの操作を完璧に習得して、準備しておけということだった。

 

今なら親切丁寧なな解説書がいくらでもあるが、なにせその頃はWindows95の時代。この頃の解説書は小さな文字で、難解な文章がつらつら並んでいる本格的な物しかなかった。これが私にとっては読むこと自体が難しく、まるで暗号を解読するようなものだった。でも、やるしかないのだ。

 

四の五の言わないで進もう

分厚いオペレーションマニュアルを見つめながら、「まいったな......」それがホンネだった。そして開き直った。四の五の言わずに進もう。やれるだけやってみよう。

 

こんな時にはセオリー通りのやり方が正解のはず。マニュアルを1ページずつめくって、分からなければ辞書を引く。そうやって解読できたら次に進む。どんなに分厚くたって、これを繰り返したら確実に終わる。

 

残るのは時間の問題だ。そう言い聞かせ前に進んだ。

 

OSには苦戦

最初OSには苦戦した。覚えることが多すぎるのだ。自分がやろうとしていることに、何が必要で何が必要でないのかの取捨選択すらできない。

 

仕方がないので、ワンスルーで動かしてみて、できないことは後回しでいいやと、割り切って進む。

 

そうこうしていると、徐々にコツがつかめたのか、習得の効率が各段に上がりOSは何とか制覇できた。

 

今度はアプリの番。必要なのはシステムフローを作るためのビジョンというソフトの習得だった。

 

アプリは楽勝

Windows上で動くアプリは、OSの操作さえ覚えておけば問題なく扱えることが分かった。幸いなことに、とても使いやすいアプリだったので、慣れるのにさほど時間はかからなかった。

 

そんなこんなで、何とかパソコンの操作は習得できた。草むしりの時と同じ、「みたか~」と叫びたくなる衝動を抑え、例の最悪の相手に冷静に報告した。

 

無反応

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「準備ができました」

 

 そう報告しても、1ミリも驚かない無反応。次の仕事をすぐに依頼してきた。

 

次の仕事は文字通り「どさっ」と音がするほどのドキュメント。A3の用紙にびっしりとフローチャートが並んでいた。これって何枚あるのだろう......ふとそう思い、500枚入りのコンピューター用紙と比べてみると、それを有に超える厚みがあった。

 

そのドキュメントを渡し、こう言ってのけたのだ。

 

「1週間で仕上げて。原本は必要だからなくさないように。修正した部分は赤ペンでマークしておいて。」

 

そのあまりにも自然な言い回しに、できる量なのだと勝手に思い込み、満面の笑みで「お任せください!」と言ってしまった。しかし、これが間違いだったのだ。

 

諦めるの?

作業を進めるうちに、パソコンにどんどん慣れて、仕事はとても楽しくなってきた。しかし、一抹の不安が付きまとう。データ化の進み具合が問題だった。

 

「これは、1週間でできる量ではないのかもしれない」

 

そう感じ、「すみません、これって1週間でできる量なのでしょうか?」そう、単刀直入にぶつけてみた。

 

すると、「俺なら無理かな」と、思いもしない答えが返ってきた。その言葉を聞いた途端、絶望感がよぎったのだが、この相手は私に更なる追い打ちをかけてきた。

 

「で、諦めるの?」

 

諦めない

こう聞かれ、「いえ、大丈夫です」そう答えるしかなかった。しかし、普通にやっていたのでは、どう考えても時間が足りない。テクニックでどうこうできる問題でもなさそうだ。かといって納期もある。どうするかな......

 

冷静になるために一旦仕事場を離れ、歩きながら考えた。間に合わせるためにはどうするか。

 

プラン

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こうなると、オペレーションの習得と同じで地道にやるしかない。そこで、まずは作業を1時間だけやってみた。

 

ドキュメントを1枚ずつデータ化して、赤ボールペンでマークする。これを1時間繰り返して成果をカウントする。そこから、全体の作業時間を割り出して、1週間でできるのかの判断をしてみた。 

 

結論は、「できる」だった。

 

実行

数字どおりにできるとも思えないが、やるしかない。ここで諦めればきっと「さようなら」だ。厳しい世界に足を踏み入れたのだから、それくらいは当然の事。受けて立つくらいの気持ちで挑戦してみた。

 

結果

1週間毎日フローチャートと向き合って、時には徹夜もしながら作業に没頭した。その結果、何とか間に合わせることができた。この時、1週間前に購入した赤ボールペンのインクはなくなっていた。

 

完成したことを告げても、きっと「そうか」で終わるだろうと思いながら、結果を報告した。

 

すると、私が手渡した資料をパラパラとめくりながら、にっこり笑い、「よく頑張った。引き続きうちで頑張ってください」と、告げられた。入社を認められた瞬間だった。私の夢が叶ったのだ。

 

その後も「あり得ない!」と叫びたくなるほど、むちゃくちゃな注文ばかりの人だった。

 

そんな相手と、紆余曲折の末人生を共にしている。それはまるで奇跡のような、あるいはこれが運命というものなのかもしれない。

 

この続きは、いつかまた。機会があれば書きたいと思います。

 

私の転機

これが私の転機。後に夫となる「最悪の人」との再会だった。そして今、20数年の歳月がたった今でも、私たちは一緒の時間を楽しんでいる。きっと、これからもずっと。

 

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

#わたしの転機

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